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解けてしまった謎というものは他愛のないもので、やっぱり謎のままにしておけばよかったと、つまらなく思うものなのです。 10年ほどの間、たまに思い出しては不思議に思っていたことが理解できました。理解できたというか、おそらく、そうだったんだろうな…という憶測の話で。ずっと前によくなついていた猫がいて、よくわたしの部屋に勝手に入ってくる、朝になると自分で扉を開けて、扉止めにぶつかった音で毎回びっくりして…、わたしを起こそうと顔をなめたり、前足でぐいぐい顔を押してきたり、それでも起きないわたしの鼻をがっちり噛んできたり。そのままあきらめたのか一緒に布団の中で寝てしまったり。ああ、いや、そんなディテールはどうでもよくて、なぜか、寄り付いたり注目していたのは顔ばかりだったということ。 不思議と顔に執着していた猫に、目が合うから、口が動くから、表情があるから…と、様々な憶測を巡らせつつも、今ひとつ確信を持った理由付けが出来ていませんでした。まぁ擦り寄ってきてくれること自体は無条件に歓迎なのでささいなことでしたが、猫がいなくなってからは過去の記憶が浮かぶたびに気になることでした。なぜだった…の、か…な。とても、とても気になることになっていました。 その謎が解けたのは、一人で暮らすようになってからのこと。毎日のシャワーで気付いたこと。今日はコーヒー、昨日はココア、一昨日は紅茶、その前はちょっと飲みすぎたブランデー。その日に食べたり飲んだりした香りが、なぜかシャワーのときに強くよみがえったからです。実際には強くよみがえったというよりも、それまでもずっとそうだったことに、ようやく気づいたということなのでしょう。それまでのシャワーは必ず背中で浴びていたのが、今は胸や肩で浴びるようになったから。そして、一人用の狭い浴室になったから。もしかしたら年齢を重ねることで、嗅覚が鋭敏になったのかもしれませんが、感覚器官は突然鋭くなることはないと思うのでこれは気のせいでしょう。 シャワーを浴びる時に気付く匂い。気づいてみれば簡単でした。顔、主に口やあごにかけて、香り成分が強く残っているのでしょう。それがシャワーの水分と湯気の上昇作用で強く感じるようになっただけ。そう考えれば、猫がわたしの顔によく近づいてきたこと、よく顔をなめていたこと、顔というより、口やあごの辺りをなめていたのだと記憶の断片が結びつきました。簡単なことだったんだな、と。 そう思って、気付いて、思い出して、ちょっと泣きました。気付かないまま、もうすこし不思議なまま思い返す日々を続けたかったのかな、と、少し残念にも…思うのです。そして、ああ、これが記憶に整理をつける、ということなんだな、と、これから思い出す回数を減らすであろう彼女のことに、すこし…ひたった。 そんな、猫の日。 PR |
あんた詩人だよ。。。感動しますた。猫の日・・・・というか、猫の人。
【2007/02/14 14:51】| | ジャン・ピエール・ポルナレフ #99c58f55f3 [ 編集 ]
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あはは。数年に一度、センチメンタルを気取ってみたくなります。
普段はもっとライト方面なのさ。フフフ。
【2007/02/15 08:48】| | 小夜 #99be06d27c [ 編集 ]
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