こっこれがぽぅ明の罠かっ。

夕食を逃してしまい、夜10時になって帰途につく。隣を歩く友人と雑談するうちに、不意にラーメンを食べたくなりました。ラーメンとはいうものの、ものは「うまかっちゃん」。うまかっちゃんとは、九州と四国中国くらいに販路がある袋のインスタントラーメンです。とんこつ風味の粉末スープと、サラダオイルベースの調味オイルがついています。

このインスタントラーメン、別に癖になるほどおいしいわけではなく、希少価値があるわけでもないごく普通のラーメンです。スーパーへ行けば、箱で買って帰るお父さんの姿を見ることもでき、近所では割とポピュラーな商品でした。

わたし自身も、それほど好んでいたわけではありませんが、たまに「くわっ！」と食べたくなるような、土地に根付いた食品という感じだったのでしょう。それを、普通通りに食べるのも早々に飽きてしまうので、出汁入りのしょう油を浅めのどんぶりに敷いてから茹で上がった麺を移したり、シンプルな味付けだけに様々な工夫をした記憶が浮かんできました。

しばらくラーメンのことを話していましたが、すぐに別の話題に流れていきました。が、ふとした話の切れ目にボソっと友人が「今日はラーメンですね」と一言。それでわたしもラーメン…というかうまかっちゃんを食べたくなりますが、すぐには入手できず、調理もできない。福岡であれば金龍に行けばうまかっちゃん味のラーメンを食べられるのですがそれも千葉にはなし。

そうやってうずうずしているわたしを見て友人ニヤリ。

うずうずとする内心を抑えつつさりげなく話題転換。二人ともラーメンのことなど忘れたかのように話題を飛ばしていきますが、やがて駅に着き、わたしは降車。「おつかれー」笑顔で挨拶してくる友人にボソっと一言「今日はらーめんですな。フフフ」

ええ、言ってやりましたとも。まぁフフフとは言いませんでしたが、存分にその含みを持たせた口調で。友人無言。一瞬目が泳いでいました。

その後、ささやかな勝利の余韻とともに遅い夕食となったわけですが、なんと隣の席の客がらーめんを注文してきました。わたしは焼きそばを受け取ったばかり。数秒固まってしまったのは仕方ないですよね、たぶん。せっかくうずうずを耐えたのに、最後で落とさなくてもいいじゃないですか。

そんならーめんの日。